2017年3月23日木曜日

レッテル急がず、まんまで受け取る♫

「それは僕が決めますから」と言われたことがありませんか。
小児科に子どもを連れて行ったときなどに。
医者に「どうかしましたか?」と訊ねられると、うっかり「この子風邪をひいたみたいなんですぅ」などと言ってしまう。
医者が聞きたいのは、できるだけ具体的な子どもの様子なんですよね。
平熱は何度で、今は何度なのか。それはいつからなのか。機嫌は? せきは? ご飯は食べたのか、食べないのか? うんちは出たのか出ないのか? などなど。
それらを総合して、病名や、手当の方法を決めますよ、ということ。
お芝居の感想も似たようなことが言えるようです。

ご覧いただいた後、「いかがでしたか?」とお訊ねすると、
「うちの子、面白がっていました」とか「飽きていました」とかおっしゃる。
そんなとき私は、
「で、どんな様子でしたか?」
と聞き直します。

前のめりの格好で見ていた、とか、口を開けて見ていたとか、隣の子と手をつなぎだしたとか、うちに帰ってからお父さんに自分から話した、とか、歌を歌った、とか。なかでも帰ってからの様子には一層興味が湧きます。

「飽きてしまいました」の感想のときは、さらに、どうしてお母さんがそう思ったのか、その理由、つまり、「そのときの表情や様子」を思い出して話してもらいます。

一生懸命見ていたのに、ぷいと後ろを向いてしまった、とか、お母さんのところに駆け寄ってきて違う話を始めてしまったとか、「トイレに行きたい」とか、「のどが渇いた」と言ったとか。
そして、合わせて、その時舞台ではどんなシーンだったかも思い出してもらいます。
すると、
友達との別れのシーンだったり、食べてはいけないものを食べちゃうシーンだったりする。

そうなんです。
小さな人たちは、ときに、一人で見ているのが辛くなり、お母さんのところに逃げてきたり、部屋から出て行きたくなったりするようです。
それは「飽きている行動」と、とてもよく似ています。
でも、物語がわからなくて、あるいはつまらなくてそうなるというより、良く解り、激しく心が動いたからこそ! の行動ということも沢山あるようです。

大人が勝手に解釈しないで、決めつけないで、その様子の意味するところを平な心で見つめてみると、小さな人たちは、大人の想像以上にいろんなことを感じ取っていることにお気づきになるでしょう。
尊敬といとおしさが生まれるにちがいありません。

上演後に小さな人たちと。
主演のかえるくんと握手

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