2017年10月15日日曜日

おしゃべりな背中

 
「ひぽぽたあむの人形劇は、台詞なしのシーンから始まることが多いですね」
のご指摘を受けて、
あらほんとだ、と気がつきました。

『ハリネズミと雪の花』
は、始まったとたんに、ハリネズミではなく、くまくんが、舞台を行ったり来たり。
しばらくして
「あ、木(薪)運んでるんだ」
と誰かがつぶやく。

『かえるくん・かえるくん』
ではベッドから降りて支度して、うがいして、顔を洗って、ご飯食べて、
やっと
「昨日野うさぎくんがね」
と話し出す。

『スキレルとヘアとグレイ・ラビット』
にいたっては、
ご覧くださった小さな観客に
「今日の人形劇は、なかなか始まらなかったねえ」
と言われる始末。

弦楽器四本の美しい音楽で幕が開くと、朝。
目覚めた灰色ウサギが登場するも、水を汲んだり沸かしたり、掃除したり。
クロスを広げ、皿を並べ、テーブルセッティングを終えてからやっと、
一緒に住んでる大ウサギとリスに
「ご飯だよ」
と声をかける。

でも、私はこの台詞のないシーンが大好きで、大事だと思っています。

小さな人たちは無言の、説明なしの、観ていないとわからない
「ただ観るしかないシーン」から、
これから始まるお芝居の特徴や、創り手の伝えたいことの根っこを掴んでしまうようです。

そう言えば
大正生まれの私の親たちは、 黙って良く働いて、
口から出る言葉ではない、体や行いでいろんなことを語っていたなあ。
子どもながらにも、小さな私はそれを感じてた。
もしかすると、
それと似ているのかもしれないな。

小さな人たちは実に良く観ています。
観て、分かってもいるようです。

ちなみに私は
「今日の人形劇はなかなか始まらなかったね」と言った少年には
「あなたのお母さんも、あなたが起きる前にあんなことしてるんじゃないのかしら」
と言いました。 すると
「あっ、そうか」
と。

小さな人たちは、言葉より語るものを受けとめる力にたけた人たちのようです。
ですから、
私たち大人の、弱さも醜さもふくめてもうバレバレ。
それでもお母さん!と愛してくれる!
もはや、伸びやかに精一杯誠実に生きるしかありません❤

まずは
主権在民の証としての選挙に参りましょう。
これも未来を決める大人としての大事な行いですもの。



『ハリネズミと雪の花』のくまくんとハリネズミくん


★厚生省中央児童福祉審議会推薦'91
明日は新年の前のお祝いの日。 くまくんは高熱を出してしまいます。
病気を治すことができるのは「たのし草の花」だけと聞き
親友のハリネズミは雪の森へ飛び出しますが…。
『ハリネズミと雪の花』
 
1年1組パペットシアター(西新宿芸能花伝舎

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