と、
見覚えのある女性のご挨拶を受けました。
その日は、
親と子が、生の舞台を観ながら、地域のみんなで育ち合おうという団体での講演会。
「前にお目にかかった時に、傲慢ですと言われた者です」
とも。
あらあら、私はなんとひどいことを申し上げたのでしょうと反省しつつ、
はたと思い出しました。
前回お目にかかった時に、
「しゃべるのが苦手なんです」
と何度も何度もおっしゃった方です。
「一言で全部、完璧に言いたいと思っているからじゃないの?
そういうのを傲慢て言うのよ」
と。
そうそう、確かにそう申し上げた。
「司会としてどんなことをお話すればいいですか、私しゃべるのが苦手なんです」
と、今回もまた。
「あなたしか話せないことをぜひ」
と私。
「ひえーっ。私、朝からもう緊張して、手を洗ったその手洗い石鹸で顔まで洗っちゃったりして。もうヒリヒリ……」
「その話をそのまんましたら?」
「彼女は、今日はお誘いした方もおいでになるから余計に緊張してるのよね」
と仲間が助太刀。
「ならいっそう、その話をなさいませよ」
と私。
「その方が新しくおみえになった方も安心するわよ」
とさらに追い討ち。
「ひえーっ。」
と本日の司会者さんは叫びましたが……、
本当にそのお話だけをなさって、
「それではむつみさんお願いします」
と。
見事にさっぱりした、素敵な始まりのご挨拶でした。
口下手だと思っている皆さんに一言。
思っていることを全部、きちんと言おうと思わないこと。
そんなことできっこない。
それより自分しか話せないこと、自分が直に見たり聞いたりして自分が感じたことを、
その事だけを、自分の言葉で話す。
自分の見た景色だから、あくまで部分でしかないけれど、
でも「私には」こう見えました、こう聞こえました、こう感じました。
なら言えるはず。
「私は」「私には」をつければ大丈夫。
まずひとこと話して、足りないなと感じたらまたふたことめを足せばいい。
自分の見ている景色は「部分」なんだという自覚が、
個人的な話に、広がりと深さを与えてくれるんじゃないかしら。
想う存分しゃべりあいましょう。
自分からしゃべらないと相手には伝わらない。
それとも秋は口を閉じて、観ることや聴くことにせいをだしますか。 もの想う秋です。
秋は講演会にお招きいただくことが増えます。 人形劇の公演が増えるからでしょう。 小さな人と一緒に観る前に、大人には 「小さな人が観ること」についてのお話を 聞いていただいた方がよい場合が多いからです 【人形劇団ひぽぽたあむ公演のお知らせ】 「スキレルとヘアとグレイ・ラビット」(写真) 11月23日(金)祝 14時開演 パペットシアター1年1組in西新宿芸能花伝舎 http://www.zenninkyo.jp/hipopo.html |
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