講演会にお招きいただくと、こんな挨拶を受けることがよくあります。そして「講師のご紹介はどんな風に?」と。
私はとたんに嬉しくなって、「あなたにしかできないご挨拶をぜひ」と申し上げます。
たいてい、「私事ですが……」と、なぜ私を講演会に呼ぶことになったかのいきさつやら、自分の期待感も混ぜ込んだ「その人ならでは」のご挨拶をしてくださいます。
こんなふうに私たち大人は、自分の「生まれて初めて」経験には寛容です。ドキドキ感も言葉にできます。
しかし小さい人にはどうだろう。
なぜできない! どうしてできない! と頭ごなしに叱ったりしてないかしら。
もしかすると、彼や彼女が今立ち向かっていることは、
「生まれて初めて」のことかもしれない……‼
自分の想いを言葉にできたら「生まれて初めてなんだよ」って言いたいときがたくさんあるんじゃないのかな。
何も言わなくても、小さな人たちは果敢に「生まれて初めて」に立ち向かっているんだなあ。
立派だなあ。素敵だなあ。
例えば3歳児は、おなかの中にいる時をいれてもまだ3+α年しか生きていない。
小さな人たちにとっては毎日が「生まれて初めて」三昧。
今日の体験が明日の手本、基準となる。
濃い!
重い!
深い!
体験・経験・知識の蓄積の量はとうてい大人にはかなわない。でも比重が違う。
私などは「ついこの間」と申し上げてもそれは5年ほど前の話だったりする。
一年一年の過ぎるのが早くて早くて。
考えてみますと私の今日の一日は(365×67)のうちの1日。
3歳児さんは(365×3)のうちの1日!
分母の大きさが違う。
一日の値打ちが違うんだなあ。
私は今でも大人になるまでの沢山の「初めての日」を覚えています。
「3階建ての木造の旅館に泊った日」も
「学芸会でにわとりを演った日」も
「腋毛を脱毛してもらった日」も
「兄と汽車に乗って二人だけで親戚のうちに行った日」も
「誕生日のケーキが無くて店にある缶詰の中から好きなものを何でも食べていいよって言われた日」も
「ソフトクリームを初めて食べた日」でさえも!
書ききれないほどの「初めて」を覚えています。
どうぞ、小さな人たちの毎日がいろんな「初めての事」に満ちあふれ、
できれば、喜びと愉快な「とき」を、じっくりゆっくりたくさん持つことができますようにと祈るばかりです。
良いお年を!
<明日は私の生まれて初めての68回目の誕生日という日に>
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