2018年2月13日火曜日

小さくて大きな人たちに会いに来て

幕の後ろからですが、小さな人たちと出会っていると、彼らの大きさに目を(耳を)見張ることがたびたびあります。
例えば今回は、人形劇団ひぽぽたあむの人形劇「チップとチョコ」(三本だて)の一本目の「おでかけ」でのエピソードを。
原作はどい・かやさんの同題の絵本(文溪堂刊)。しっかり者の妹と心優しい兄ちゃんのお話です。

おばあちゃんが兄妹に襟巻きを編んでくれました。
兄には黄色、妹には赤です。
お兄さんが「ボクの大好きな卵焼きの色だ」と言いながら巻いてしまうものですから、
もめごとが始まります。
妹は「私も黄色がいい!取り替えて」と。 でも兄は「チョコのは可愛い苺の色だよ」と。
なんとかおさめて二人でおばあちゃん家に見せにいくことにしました。
ところが途中で、黄色い小鳥に出会ったり、赤いリンゴを担いだイノシシに出会ったり。
そのつど妹は「やっぱり黄色が」、「やっぱり赤が」と取り替えっこを要求。
大泣きしたり、もう行かない、とか言いながらね。
しぶしぶ取り替えてあげる兄。
やっとこおばあちゃん家に着いたら、なんと幸か不幸かお庭に黄色い花が!
当然二人は黄色を取り合いっこに。
そこへおばあさんが登場し……。

 さて、皆さんならこのもめ事にどう落とし前をつけますか。

チップとチョコのおばあちゃんは、小さな二人におやつをすすめ、その間に襟巻き二本ほどいて、しましまに編み変えちゃうのです。

皆様いかがですか!?

妹は「これで、小鳥ともリンゴともお花ともおんなじだね」と喜びますが、
演じている私たちは、「え、おばあちゃん、二人に相談もなく勝手にやっちゃって良いの?」とドキドキします。
もちろん、さすが年配者の知恵だな、と感心もしますが。

客席の皆さんはどうかしらと耳をすますと、
つるつるつると襟巻きをほどき、玉にし、編み変えるおばあちゃんの仕事っぷりに見とれ、「上手!」と声までかけてくれる人もいて。
少なくともたいていの観客は、おばあちゃんのしたことを受け入れ、ほっとしてくれているようなのです。

ですから、兄のチップも「おばあちゃんありがとう」と言います。
世論に支えられてね。

そうなんです。
私が驚くのはここです。
「おばあちゃんが一生懸命編んでくれたのだからいいかあ」と受け入れてくれているんだ! と。

このドラマは小さな人たちを大人たちが見守っているだけではなくて、
大人たちを(!)小さな人たちが見守っているドラマでもあるんだ、と改めて感動する次第。

あらすじめいたことも書いてしまいましたが、観ると聞く(読む)とは大違い。
舞台と、優れた小さな観客を観に是非劇場へおでかけください。


昨年柏崎子ども劇場さんでの公演の時に
作っていただいた「チップとチョコ」の看板。

 


◆劇団ひぽぽたあむ公演のお知らせ◆
こいぬの兄妹チップとチョコ

2018年2月25日 13:00
ASIA TYA Festival in Japan 2018 参加
チップとチョコ
会場: 国立オリンピック記念青少年総合センター

お申し込みはカンフェティ0120‐240‐540まで



2018年3月18日 11:15
ふれあいこどもまつり 参加
チップとチョコ
会場: 文京シビックホール

お申し込みは劇団ひぽぽたあむ☎042‐369‐1246まで





 



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