新年度の始まりと連休。
お子さんも親御さんもお元気でお過ごしですか。
この季節になると決まって思い出すことがあります。
初めての息子の、初めての小学校入学、初めての保護者会。
何もかにも珍しく、息子の机と椅子に座り、担任の先生を見つめました。
初めての息子の初めての出来事は、そっくりそのままで母にとっても初めての出来事なわけです。
「自己紹介を兼ねてご自身のお名前と、お子さんの良い所と悪い所をおっしゃってください」
と先生。
列の一番前から順番に立ち上がって「自己と我が子紹介」が始まりました。
最初の方が自信に満ちて、「うちの子は、勉強は苦手かもしれませんが、幼稚園時代から友達の多い子です」とおっしゃったせいでしょうか、たいていの方が似たり寄ったりの紹介をなさいました。
さて私の番になりました。
私はとても困ってしまいました。何を話したらいいのか。
そこで心のままに申し上げることにしました。
「私は我が子のことが良く解りません」
そう言ったとたん教室の風の流れが変わったような気がしました。
「私にとって、ここがこの子の良いところだなあ、と思えるところは、他の見方をすると弱点ともいえるし、弱点かなと思うところがこの子の魅力でもあるし、とかとか。良い所と悪い所が重なりあって良く解らないのですよね」
と。
よろしくお願いします! とにっこりして座りましたが
「あれ、なんか私、変なこと言ってしまったかな」
と、ひとり浮いてしまったような、居心地の悪さを感じたことを覚えています。
そして驚いたのは帰宅してから。なんと3人もの方からお電話をいただいたのです。
「何かお悩みなのね」とか「ご相談事があったらいつでも」とか。ご自身の信仰している宗教へのお誘いでもありました。
迷える母親、気の毒な母親と受け止めて手を差し伸べてくださったのでしょうね。
でも大丈夫。
その時も、30数年たった今でも、やっぱり長所は見方によって短所にもなるし、短所は長所と言えないまでも魅力の一つになっていることもあるのではと思っています。
そして何よりも親が、我が子のことを一番よく知っているとは限らないのではないかしらとも。
親が知っている我が子は、親と一緒にいるときの我が子の姿以上でも以下でもないのだということ。親こそがすべてを知っているわけではないということ。
我が子も私たち大人と同じように、他の場面では全く違う顔で、もしかして「別人」のように生きているかもしれないということ。
長所や短所と言いますか、「個性」は固定したものではなくて、関係によって引き出されるものだということ。
もっと言えば本人でさえ気が付いていない「自分」がいる!
だからこそ、我が子にも、家だけではない、学校も含めての「もう一つの場」(それも複数で!)があることは素敵なことです。
いろんな人や出来事に出逢いながらいろんな「自分」に出逢っているのですから。
親が我が子のすべてを知ることはできないし、それでよいのだと思うのですが、いかがですか。
前夜の名残り。 |
ひぽぽたあむ公演「かえるくんかえるくん」 大東おやこ劇場さんが作ってくださった公演ポスター。 |
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